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大人がそばに居て読ませたい 書評:チョコレート戦争

久しぶりの児童文学、190頁くらいの大物だ。と言っても、字が大きいのですぐに読み終わってしまう。

奥付によると、本書の初版は1965年だが、「童話プレゼント版」は28刷、続く「理論社名作の愛蔵版」が95刷、「名作ランド版」が2刷、「フォア文庫版」(最終刷不明)、そして私が持っている「新・名作の愛蔵版」が24刷でたぶん継続中。合計149刷以上というロングセラーだ。

・・・誰もがそのお菓子に憧れる街のお菓子やさん、金泉堂のショウウインドウが突然割れた。その時ショウウインドウの前にいた小学生、光一と明は濡れ衣をきせられてしまう。その悔しさをこらえきれない光一は金泉堂の象徴でもあるチョコレートの城を盗み出すことによって復習しようと決心するのだが・・・

Wikipediaのチョコレート戦争チョコレート戦争 の解説によると「それまで生真面目とされていた子ども向け文学の転換点になった」作品だそうだ。

そうだよなあ、子供による復讐劇なんて、いまでもそうは無いと思う。しかも「盗む」というのはすごいね。復讐のために犯罪と知りながら実行するというのはなかなか書けるものではない。フツーなら身の潔白を晴らすために何かをするだろう。挙句の果てに、戦争の勝敗はどう考えたらいいのか、という疑問まで提示している。ほとんど道徳の教科書だね。

私が通った小学校は国立大学の付属小学校だった。卒業してずいぶん経ってから聞いた話だが、その小学校では道徳の授業において善悪の結論は出さない方針だったそうだ。善悪について話し合いはさせるけれども教師が結論を出さない。そうして子供自身に善悪について考えさせるのだそうだ。

ハッキリとは覚えていないが、いわれてみると確かにクラスで激論になったことはあったが、いつもそれで終業の鐘が鳴っていたような気もする。

善悪の判断はとても難しい。大人になるにしたがってどんどん難しくなるし、善悪そのものが無いことも多い。善悪は知識ではなく知恵だろうといまは思う。

本書は見方によって善悪がかなり異なると思う。子供に濡れ衣を着せた大人、復讐のために盗みを働く子ども、逃げおおせているガラスを割った張本人。そのどれにも言い分がある。それぞれ言い方を変えれば、犯人を誤解してしまった大人、悔しさのあまり自分なりに行動した子供、罪を正直に告白できなかった人。

果たしてこれを咀嚼できる年齢は幾つだろうかと思ったが、咀嚼できない年齢にこそ大人がそばに居て読ませるべきかもしれない。

ちなみに、最後は皆が納得するハッピーエンドと言っていいと思うな。

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コメント / トラックバック

  1. ナナメモ
    2010年01月08日 金曜日 21時27分

    「チョコレート戦争」大石真

    チョコレート戦争 (新・名作の愛蔵版)
    大石 真,北田 卓史
    JUGEMテーマ:読書

    町一番のケーキ屋さんのショーウィンドーを割ったという濡れ衣を着せられた明と伸一。悔しい気持ちはお…

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