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小手先でひねりすぎ 書評:写本室(スクリプトリウム)の迷宮

私は、昨年末まで3年連続で年賀欠礼を出すことになってしまいました。来年こそはそうならないで欲しいとホントに思う。今年もよろしくお願いいたします。

さて、私は本に関するミステリー小説が大好きなのだが、なかなか見つけられなくて。内容がそうでもタイトルからそれとわからないと結局手にとって見ることすらできないのだが、本書はそういう意味ではわかりやすくてよかった。なんとなく「薔薇の名前」を想像させる。

・・・のだが、読んでみた感想は「小手先でひねりすぎ」。設定はなかなか壮大なのだが、壮大さが活かされているようには思えなかったし、著者の知識の幅広さは感じるのだが、その一つ一つが小さく見えてしまうのは残念だ。

装丁もちょっと垢抜けないかなあ。カバーに使っているレザックは紙だけ見るとなかなか使いでがありそうに見えるのだが、実際に使うとプラスに働くことが少ない紙だと思う。

・・・主人公の大学教授・富井が出張先のチューリッヒで散歩中に小さな画廊を見つける。そこには日本人画家・ホシノが描いた一枚が飾られていた。店の主人によると、ホシノの要望で一年に一度その日にしか飾らないという。また、主人は富井が日本人だと知るとホシノからメッセージを預かっているとも言った。

ホシノからのメッセージは、いつかこの絵を見るであろう日本人の誰かに宛てた知の迷宮への誘いだった。メッセージと一緒に用意されていたのは木箱に入った、手記と地図二枚、それから「イギリス靴の謎」という小説の原稿。ホシノが偶然に遭遇した殺人事件、その先にある謎とは・・・

知識って持ってるだけに終わってしまうと魅力が半分以下になってしまうんだよな。知識をたくさん持っている人によく見かけるのだが「知識を持っている=深みが出る」と思っている人がいる。これに近いのがウチワネタ。ただ、ウチワネタは「知っていること=オチ」なので深みなどカケラもないが、知っている人なら必ずウケる。

知識を持っている人は頭の中でその知識一つ一つがその人なりに結びついている。けれど、それはあくまで個人的な結びつきであって、他人も同じ連想をするとは限らない。知識には解釈が必要だし、その解釈が状況に応じた共感を得られるようでないと知識は生きてこない。

ある単語に自分なりのフリガナを振って、読む人に読み方を強制する文章があるが、アレと根は同じだろう。人間、歳とともに知識や言葉に深みを要求し始める。独りよがりにならないよう、気をつけなくてはいけませんね。

自戒もこめて。

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古本や古本市、本の買取、読書グッズ、本棚・書棚などについて書いています。私は読書が好きだし、楽しいことだと思っています。皆さんにも読書のある生活を楽しんでもらいたいと思ってます。

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