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いつか役に立つときがくるかもしれない 書評:三島由紀夫レター教室

これはおもしろい。分類がビジネス書でいいのかどうか迷うが、著者が「レター教室」と言っているのでそうしようと思う。

育ちも境遇も性格も違う5人がお互いに手紙を書く、その手紙が掲載というか、書いてある。読者はこれらの手紙を手本としなさい、というわけだ。では、どういう状況で使える手本なのか、目次からご紹介しよう。

古風なラブ・レター / 有名人へのファン・レター / 肉体的な愛の申し込み / 借金の申し込み / 処女でないことを打ちあける手紙 / 同性への愛の告白 / 愛を裏切った男への脅迫状 / 出産の通知 / 招待を断わる手紙 / 結婚申し込みの手紙 / 恋敵を中傷する手紙 / 心中を誘う手紙 / 旅先からの手紙 / 年賀状の中へ不吉な手紙 / 英文の手紙を書くコツ / 真相をあばく探偵の手紙 / 探偵解決編の手紙 / 身の上相談の手紙 / 病人へのお身舞い状 / 妊娠を知らせる手紙 / 妊娠を知った男の愛の手紙 / 陰謀を打ち明ける手紙 / 余計なお世話をやいた手紙 / 裏切られた女の激怒の手紙 / 閑な人の閑な手紙 / 結婚と新婚を告げる手紙 / すべてをあきらめた女の手紙 / 家庭のゴタゴタをこぼす手紙 / 離婚騒動をめぐる手紙 / 悪男悪女の仲なおりの手紙

たぶん・・・、ほとんどが役に立たないと思う。いまのところネ。

しかし、しかしである。ちょっと考えてみて欲しい。こういう文例はたぶん本書以外には存在しない。こういう文例が必要な状況になることはあまりないかもしれないが、仮にそうなった場合は本書以外どこを探せば良いのだろうか、私は思い浮かばない。

以前勤めていた会社の同僚Mから聞いたのだが、お客様から「婚約して結婚式の招待状も送ったけれど、結婚式の前に別れることになったので、結婚式の中止を連絡する挨拶状が欲しい・・・」というような依頼があったそうだ。

M「そんな文例なんて、いくら印刷会社だってあるわけないでしょ。」
私「で、どうしたの?」
M「しょうがないから、”婚儀が叶わぬことになった”とかなんとか、いろいろ調べて作った。」

そう。結局ありきたりの文例なんて本当に手紙で済ませたいときには役に立たない。例えば同性への愛の告白なんて(いまのところ、いや、絶対に)必要ないのだが、それでもそうなったときになんて書こうか・・・。実際に本書にある手紙を一字一句が使えるといういうことではなく、とっかかりをどうしようとか、目的はどう表現しようとか、そのくらいだけれど、本書は役に立つのではないかと思う。

本書はレター教室と銘打っていろいろな手紙が書いてあるが、実は最後まで続けて読むと一つの話が見えてくる。ストーリーというほど連続性のあるものではないが、登場人物があれこれと手紙で画策する様子は、手紙を追うごとに彼らの人とナリを明らかにしていく。三島由紀夫三島由紀夫 ってすごいですね。

もう一つ触れておきたい。本書の解説は群ようこ群ようこ である。私は以前このブログで紹介した「鞄に本だけつめこんで」でこの解説を読んでいる。それで本書のことが頭に残っていて買ったのだが、改めて解説として掲載されているのを読むと、また違った印象になった。ちなみに表紙の装画は山本容子山本容子 である。

・・・やっぱりビジネス書じゃなくて文芸書の方がいいような気がするが、万が一将来役に立ったら実用書になってしまう。分類に困る一冊だ。

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古本や古本市、本の買取、読書グッズ、本棚・書棚などについて書いています。私は読書が好きだし、楽しいことだと思っています。皆さんにも読書のある生活を楽しんでもらいたいと思ってます。

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