古本市・本の買取・読書グッズの情報サイト marginalia.jp
古本市・本の買取・読書グッズの情報サイト

出てくる本のことより著者のことについて考えてしまう 書評:なつかしい本の話

NHKのサイトでまた景品が当たった。同封されていた文章に「※インターネットオークションなどで売買することは固く禁じます」と書いてあった。

さて、本書は書名からもわかるとおり、読書エッセイである。著者は文芸評論家・江藤淳江藤淳 、雅子様の親戚筋でもあるそうだ。妻の闘病生活を綴った「妻と私」が有名だが、その連れ合いを看取った後、10年前の1999年に自殺している。本書の初版は1978年なので46歳のときの著作である。

なぜ著者の自殺にわざわざ触れたかというと本書には著者の生きることに対する想いが随所に出てくるからだ。

江藤は子供のころから病弱で学校にもあまり行かずに育ったようだ。家にいてすることもなければ本を読むというのは自然なことで、小さい頃から様々な本に親しむようになる。病気を牢獄と呼び、自由にならない身の上に悩みながら読書を続けていたようだ。救いを求めていたようにも見える。

(なつかしい本の話 より)

生存を維持しなければならない、と考えるからヒリヒリするのだ。「ゆっくり時間をかけて死んで行く」と、考えればいいのだ、と、私は思いはじめていた。

まさか読書エッセイで、しかもなつかしい本の話がこんな話になるとは予想もしてなかった私は多少面食らった。なつかしい話とは、言ってみれば思い出である。それが生きている人間にとって最後の段階である死についてであったというのはどうなんだろう。普通なら希望や欲望に満ちている年頃の話なのだ。

私は幸運にもいままで大病をしたこともなければ入院したこともない。持病は秋の花粉症という程度である。正直言えば、自分の生命の危険を感じたことは一度もない(近頃、歳は感じるようにはなった)。そんな私に江藤の気持ちなどわかるはずもない。

結局、傍目には江藤は最期を急いでしまったように見える。しかしそれは傍目にだけであって、20年かけてゆっくりと死んで行けたのだろうか。

・・・というように、本書は出てくる本のことより著者のことについて考えてしまうという珍しい読書エッセイである。出てきた本なんて、目次見ないと思い出せなかったもの。

装丁にも触れておきたい。貼函にある挿画は司修司修 である。いかにも本好きに訴えそうな挿画は蔵書票のような趣であるが、あまり「なつかしい本の話」という感じではないな。

函から出してみると、表紙は和紙貼り、背は角背で布貼りに金の箔押しである。スピンの色がこの布部分に合わせてある。本扉に使っている紙を貼函にも使うあたりにこだわりを感じる。見返しはマーブル柄を印刷してあるのだが、色が茶一色なのでどこかおどろおどろしい感じがする。天のアンカット(アンカットはあくまで仕上断裁をしていない状態のことであり、ナイフで切って読むのはフランス装の特徴の一部)は、単行本だと(捲りにくいけど)雰囲気は良い。版面もバランスが良くて、上手だなあと思う。装丁は誰だろうか。

marginalia?

古本や古本市、本の買取、読書グッズ、本棚・書棚などについて書いています。私は読書が好きだし、楽しいことだと思っています。皆さんにも読書のある生活を楽しんでもらいたいと思ってます。

管理人のプロフィール

ご意見など

お名前
メールアドレス(公開されません)
ウェブサイト

トラックバックURL:

このページの先頭へ
古本市・本の買取・読書グッズの情報サイト marginalia.jp
古本市・本の買取・読書グッズの情報サイト
読書占い
Copyrights © 2008-2017 marginalia.jp all rights reserved.