古本市・本の買取・読書グッズの情報サイト marginalia.jp
古本市・本の買取・読書グッズの情報サイト

なんだかんだ言っても・・・ 書評:仕事が人をつくる

なかなか寝ない娘に「寝たらピーターパンが夢に出てくるかもしれないよ」と言ったら「ピーターパンはテレビに出てくるから夢には出てこない!ワーんッ!」

さて、本書は自らもNC旋盤旋盤 を回して50年のベテランである著者が全国の様々な職人を紹介した一冊である。本書で紹介されている人たちはどれも有能な職人ばかりだ。職種を紹介すると、研削工、瓦職人、染色工、歯科技工士、棟梁、椅子職人、空師。

著者自身が職人であることもあってか、暖かい目で職人達を取材している。どこかこう、プロジェクトXプロジェクトX のような雰囲気も漂う。

本書に出てくる職人に共通することは「なんだかんだ言っても、この仕事が好き」ということだ。これ自体はよくある表現だが、本書について私なりの注釈をつけるとすれば「なんだかんだ言っても」の方が重要だ。むしろこの「なんだかんだ言っても」を集めたのが本書である。

職人の半生を振り返ったり仕事のキツさを語ってみたり・・・、つまり「ありのままの職人」ってとこだ。歯科技工士の話なんか聞いてると(ホントは読んでるんだけど、聞いてるような感覚になってしまう)、「あー、歯科技工士ってやるもんじゃないな」と思うのだが、最後の一行で著者同様、聞いていた私も安堵する。

(仕事が人をつくる より)

苦労話ばかりしましたけれど、好きではあるんですよ、この仕事。(中略)もういちど生まれ変わっても、技工士をやっているのかもしれません

ウデが良いから仕事が途切れることはなさそうだが、さりとて贅沢ができるほど儲かっているようでもないし、後継者不足の問題や、業界自体が先細りだったりと心配事はつきない。

もちろんこれらは本書に出てくる職人に限った話ではない。つまり・・・、仕事は皆一緒ってことだよな。私の友人に金属加工をやっている町工場の若旦那がいる。少し前に一緒にお酒を飲んだ時、プログラムを書く仕事の話をしていたら途中若旦那が「なーんだ、それじゃウチらと一緒じゃん。」と言っていた。仕事ってのは、究極的には使っている道具の差でしかないように思う。

私の経験上「仕事のできる人」は別の分野の仕事をやらせても、そのうち上手になる。ダメなヤツは他に鞍替えさせてもやっぱりダメだ。これが生まれつきなのか、それとも本人次第なのかはまだわからない。なんとなくだが、生まれつきは上と下それぞれ10%くらいで残りの80%が本人次第ではないかと思っている。本書に出てくるのは80%の中にいる人だと思う。そして本人もそれを自覚しているように見える。

私はいままで「職人」という言葉に尊敬の念を込めてきた。本書を読んだいま、これからは「親しみ」も込めたいと思う。

marginalia?

古本や古本市、本の買取、読書グッズ、本棚・書棚などについて書いています。私は読書が好きだし、楽しいことだと思っています。皆さんにも読書のある生活を楽しんでもらいたいと思ってます。

管理人のプロフィール

コメント / トラックバック

  1. アクトヘアースタジオ
    2009年04月25日 土曜日 08時06分

    凄~くよく判る。(笑)

    才能ってのは、「出来るようになるまで続ける能力」の事だよね!

  2. 管理人
    2009年04月26日 日曜日 02時02分

    アクトヘアースタジオさん

    >才能ってのは、「出来るようになるまで続ける能力」の事だよね!

    そうですね。発展させると「できるかもしれない、と思える能力」とも言えますか。これが行き過ぎるとコマッタちゃんになってしまうのですが。

ご意見など

お名前
メールアドレス(公開されません)
ウェブサイト

トラックバックURL:

このページの先頭へ
古本市・本の買取・読書グッズの情報サイト marginalia.jp
古本市・本の買取・読書グッズの情報サイト
読書占い
Copyrights © 2008-2017 marginalia.jp all rights reserved.