以前、絵だけの絵本「アンジュール」で絵だけの本というのにずいぶんと興味が増した。この「狂人の太鼓」もその一つだが、帯には「文字のない小説」とある。小説である。
頁数は120頁とのことだが、ノンブルがないのでハッキリとはわからない。驚くのは全てのページが木版画ということである。独特の画風でインパクトがかなり強い。文字がなくて絵ばかりでも子供向けでないことは明らかだ。画風はコチラのサイトを見ていただきたい。
翻訳本は本扉の裏に権利関係を記すのが一般的だが、この本は奥付と同じページにある。Copyrightは1930年でLynd Wardだが、日本語版の出版はNanda Wardとなっている。たぶん息子さんか娘さんではないかと思う。企画・編集は藤原編集室。こういう一癖ありそうなのを得意としているようだ、これからもがんばって欲しい。
この本は先日紹介した雄松堂ヴァーチャル展示館で紹介されていた本の日本語訳・復刻版だ。もともとの存在価値がそうさせるのか、装丁もなかなかいい。特に表紙と見返しの雰囲気が良くて、使用している紙を調べてみた。特種製紙株式会社のフレーバーボンドのようだ。緩く波打った、微妙に浮き出ているスジがいい雰囲気を出している。表紙は茶色のベタ一色刷り、文字部分がヌキになっている。見返しは同じ紙を刷り無しでそのまま使っているが、波打ったスジが統一感を出している。
ヘドバンは黒でスピンはなし。予算上しかたないのかもしれないが、できれば糸かがり製本にして欲しかった。そうすれば一枚一枚の木版画をもっとゆったりと眺めることができるだろう。
本書には牧眞司によるリンド・ウォードの解説が三つ折りのピラで入っている。著者の生い立ちや出版までの経緯があり、参考になる。
この本はいわゆる文芸ものというよりは、より画集に近いとこに置きたいという意思が見え隠れするところがある。
- 紙が比較的厚い
- ノンブルがない
- スピンがない
- 見開きの片方がシロ(絵の裏は印刷なし)で、本扉も含めて全ての絵の前にシロがある
- まえがき、あとがきの類いがない
牧の解説をピラにしたのもこのためではないかと思っている。深読みが過ぎるだろうか。
さて、読んでみる。文字がないので、内容は絵から類推するしかないのだが、これが結構難しい。私はこの記事を書くまでに3回読んだ(見た?)がそれでもわからないところがある。
海外の時代背景と文化を絵にしているので日本人にはなかなかわかりづらいことも多いような気がする。特に人の顔。日本人なら微妙な差でもどれが同じ人物なのかわかるのだろうが、外人の顔の認識ポイントがよくわからないので何度もページを前後してしまう。アゴが割れてるヤツとそうでないヤツとかじゃダメみたい。2度目で気がついたのだが、基本的に同じ人物は同じ模様の服で描かれているようなので、それをたよりに読み解くといいようだ。
紙幅(って、ブログだけど)がつきたので、内容はまた明日。
この本について
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アゴが割れてるヤツとそうでないヤツ…
面白い認識ポイントですなぁ。
今日チラッと見せてもらいましたが、僕には理解できる内容ではなさそうなので、明日の内容を楽しみにしています●