先日、Suicaのキャンペーンでケータイマグが当たった。少し前にNHKのキャンペーンでキャラクターもののセロハンテープが当たった。家内も雑誌のキャンペーンで手帳が当たった。近頃はこんなところで運を使っています。
さて、本書の要点は「モノづくり大国から文化を発信できる国になり、同時にお布施(対価を買い手が決める)を集めるビジネスモデルを構築し、そうして成長しよう」ということだと思うのだが、このことを語るのに(私からみれば)どうでもいいことを並び立てているように思えた。
モノづくり大国から文化を発信できる国になる、同様に考える人は数多くいることだろう。「VHS vs Beta 戦争」や、いまの低価格ネットブック競争まで同様のことを考えるきっかけや実例はいくらでもある。つまりこれ自体目新しいことではない。
お布施(対価を買い手が決める)を集めるビジネスモデルについては、「お代は見てのお帰り」という江戸時代の風習で表現したのはおもしろいが、それでうまくいきますかね。技術的なことはおいとくにしても、それを構築するにあたっての考察が非常に大切なところではないかと思う。それなのに、梅棹忠夫
の「情報産業論」に「情報社会における情報の対価は、買い手が値段を決めるお布施みたいなものである」というようなことが書いてあるらしいのだが、それが本書の論拠でしかないような気がする。せめて、江戸時代の風習でいまの世の中でも通用すると著者が考えている真理みたいなことを現代社会になぞらえて教えて欲しい。
また、本書には帯をはじめとして近頃のオタク文化がいくらかでてくる。それはいいとしても2章1節「涼宮ハルヒがビル・ゲイツを超えた日」って見出しはどうかと思う。この節にはビル・ゲイツという文字が一度も出てこない。出てくるのは前節である1章最終節「あらかじめ予定されたマイクロソフトの敗北」で、要約すると、ネット社会を意識していなかったWindowsは近頃Googleなどに押されている、というようなことだ。涼宮ハルヒのどこがゲイツに勝っているのかというと、非合法なコピーがきっかけにせよ、世界中に広がっているからだそうだ。なんだそりゃ。たぶん涼宮を読んだことがあるヤツよりWindowsを使ったことがあるヤツの方が多いと思うゾ。
他にもいろいろあるが、もう疲れたのでヤメにする。本書はつっこみどころ満載。