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やはり、私にとって本はモノなのだ シンポジウム:アクセシブルな電子本を届けよう

先日、日本教育会館で開催されたシンポジウムに参加した。以下は概要。

シンポジウム「アクセシブルな電子本を届けよう」の様子

シンポジウム「アクセシブルな電子本を届けよう 読書に障害のある読者が利用できるシステム構築をめざして

講演1「読書障害者の読書を助けるブックシェアプロジェクト(米国)の現状と課題」
   ジム・フラクターマン(ブックシェアプロジェクト代表)【日本語通訳あり】

講演2「障害当事者が求める電子本」
   松井進(BRC副理事長)、南雲明彦(学習コーチアカデミー

講演3「電子本をもっとアクセシブルに」
   萩野正昭(ボイジャー社長)、金子和弘(講談社

日時:2009年2月22日(日)13時20分〜16時50分(13時受付開始)
会場:日本教育会館
定員:100人
費用:無料
主催:特定非営利活動法人バリアフリー資料リソースセンター(BRC)
共催:静岡県立大学国際関係学部 石川准研究室
後援:日本電子出版協会(JEPA)出版UD研究会
協賛:株式会社アメディアケージーエス株式会社株式会社高知システム開発
   有限会社読書工房株式会社ラビット(五十音順)

参加してみて感じたことはいろいろあるが、総括すると、何のために参加したのかわからなくなってしまった。まだこのブログには書いていないが、少し前に「指と耳で読む 日本点字図書館と私(本間 一夫(著)」を読んでおり「ま、仕事上無関係でもないし電子本にも興味あるから話を聞いてみよう、無料だし」という軽い気持ちで参加したのだが、考えさせられることが多く道に迷った状態になってしまった。

私は視覚障害者を含む人たちに関係するシンポジウムというは初めてだったのだが、まずその進行方法の違いに驚いた。この記事冒頭の会場写真左に文字が映っているスクリーンがあるが、これは要約筆記である。つまり誰かが話していることを同時に文字にして表示してくれるのだ。担当はペガサスとうところで、これが本業のようだ。また、部屋の広さや参加人数の様子を紹介するのに拍手を使う、休憩時間の残り時間のアナウンスが頻繁であるなど、様々な工夫がある。

講演1ではジム・フラクターマン氏がアメリカのブックシェアサービスの成り立ちから現状までを紹介したがジム、通訳、ジム、通訳と進むのでちょっと時間がかかる。ま、しょうがないかな。途中アマゾン・キンドルアマゾン・キンドル をチラッと取り出してみせたのだが、人が電子ブックリーダーを持つということがどういうことなのかわかったような気がした。専用端末はあきらかに「読書もやろうと思えばできる端末」と違う。また「DAISY」(オーディオブックの規格:日本障害者リハビリテーション協会障害保健福祉研究情報システム内「エンジョイ・ディジー」に詳しい)というオーディオブックの規格があることも初めて知った。

講演2では障害当事者の生の声を聞くことができた。障害者用の本としては「大活字」「音声合成」「点字」「オーディオブック」などがあり、現に複数の媒体で出版されている本もあるそうだ。本を読むまでの不便を解消する必要性についても意見があった。支払いにはクレジットカードを持っていない人のためにコンビニ決済に対応して欲しいとか、障害者向けの本が出るまでのタイムラグを少なくして欲しいということである。私らはとかく技術的なことに目を奪われがちである。

講演3はボイジャーのドットブックや講談社での取り組み・現状などが紹介された。その後質疑応答となったがあまりに時間が短く、もうシンポジウムシンポジウム ではなくなってしまった。惜しいなあ。私は複数回言葉のやりとりがある意見交換を期待していたのだが。

講演3と質疑応答で印象に残った言葉をいくつか。ただし、一字一句覚えている訳ではないので、ま、そのつもりで。

  • 「単なるテキストは出版ではないと思っている」金子氏
  • 「(数年前のある席で松井氏が金子氏に向けて)障害者を顧客だと思ってないでしょ」金子氏
  • 「紙の本が売れなくなってくると電子本への意識が変わってくるのではないかと思う」(萩野氏)
  • 「(本の価格について)長い目で見れば健常者も障害者も同等の負担が望ましいと思う」フラクターマン氏

こうしてシンポジウムは盛況のうちに終了し、私は道に迷った状態になったわけである。

まだ整理がついていないのだが、私自身まだ電子書籍という実感を持っていないのがこんな状態に陥った原因ではないかと感じている。私はいくら「これが電子書籍です。」と言われても手元のPCで読むものは単なるファイルとしか思えないようだ。

一方、ページをめくるような視覚効果は必ずしも必要とは思わない(電子書籍には電子書籍なりのページが移る視覚効果があると思っている)し、iPhoneで読むときは禁則処理はなくてもいいと感じるくらい、ディスプレイ上の文章を読むことに対しては柔軟になってきたように思う。

そんな私にはキンドルを持つ人がチラッとそれを見せた瞬間の現実感はすごかった。チラッとしか見せないところがさりげなくて、大げさに言えばそこに電子本のある生活を感じたのである。やはり、私にとって本はモノなのだ。

ということで、電子ペーパーを10枚くらい綴じて簡易製本で販売し、好みに応じた工芸製本もできるようにしたらどうだろうか。本にはマルチディスプレイが向いていると思うし、それを好みの装丁にできるとなれば一人数冊は持つようになるだろうからハードウェア屋さんも儲かるのではないだろうか。コンテンツはプレーンテキスト、HTML、PDFくらいでいいです。PDF出力ならいまの印刷会社はほとんど対応できますよ。音声・動画はHTMLあたりでやればいい。

私が死ぬ前までに、ぜひ。

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古本や古本市、本の買取、読書グッズ、本棚・書棚などについて書いています。私は読書が好きだし、楽しいことだと思っています。皆さんにも読書のある生活を楽しんでもらいたいと思ってます。

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コメント / トラックバック

  1. 黒猫屋的日常
    2009年03月01日 日曜日 23時27分

    井の中の蛙

    先日「萌えるオーディオブック」というのを思いついた。 実は正直、オーディオブック

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