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日本人の心の琴線に触れる話 書評:天切り松 闇がたり

今日は会社帰りに電車を使ったのだが、乗った車両に緩やかなアキがあってその中央に、スッピン+前おかっぱ+ポニーテールのいくぶん日焼けした女性が一人。イヤホンをして頭をいくらか揺らしている。ノリノリだ。電車が動き出してすぐに、その女性は身振り手振りを交えて歌い始め、そのうち、頭だけノリノリ状態に。またすぐに歌い始めて・・・。エアポケットには要注意。

さて、本書はブタ箱で繰り広げられる元盗人の昔語りである。天切り松は盗人の老人のことで「闇がたり」は六尺四方から先には届かないと言われる夜盗の声音のことだそうだ。どんな受刑者でも天切り松の昔語りを聞けば、それまでの態度とは打って変わって神妙になる。

・・・博打打ちの父親は姉を女郎屋に売り、弟を泥棒一家に弟子入りさせる。姉は自分の稼いだカネで弟が学校に行っていると信じ、弟は姉が何をしているのかさっぱりわからない。弟は泥棒一家で様々な人間模様を見ながら成長する・・・

ブタ箱でロクデナシを目にするたびに一言言いたくなる天切り松は、いままで見聞きしてきたことを一つ一つ話して聞かせるのだ。そんな話に看守までもが耳を傾ける。

本書では泥棒はただの盗人ではなく庶民の味方として描かれる。盗んだ金を時には「祝儀だ!」と庶民にばらまいたり、不当な利益を得ている輩には説教してから金品を頂戴するのだ。

私は悪党を「心がきれい」みたいに描くのは好かない・・・、と書こうと思っていたのだが「ルパン三世ルパン三世 」「キャッツ・アイキャッツ・アイ 」「スティング(映画)スティング(映画) 」、数えればキリがないほどそういうのが好きだった。ちょっと違うか。

私がこの本を買ったのは元同僚のSがおもしろいと言っていたからだ。そのとき「日本人の心の琴線に触れるような」と表現していたように記憶している。読んでみて、わかる。すごーく、わかる。日本人以外の人がこれを読んでおもしろいと感じるのか知りたいと思う。

日本人の心ってなんでしょうね。日本人なら誰でも持っていそうな気がするわりに、「せーの」で出し合ってみると全然違いそうな気もする。これだけ価値観が多様化してくると、いずれは日本人の心なんてなくなってしまうのかもしれない。しかし本書を読むと、漠然としているし必ずしも褒められたものではないかもしれないが、確かに日本人に共通の琴線が存在するような気がするのだ。

浅田次郎、恐るべし。

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コメント / トラックバック

  1. 桜治郎
    2009年02月27日 金曜日 10時02分

    浅田次郎、最強もとい最凶\(^▽^*

  2. 管理人
    2009年02月27日 金曜日 22時27分

    桜治郎さん

    ん?浅田次郎はあまりお好みではないということでしょうか・・・。ま、それはそれで良いですが。

  3. […] 以前このサイトでも紹介した浅田次郎の「天切り松 闇がたり」でも感じたのだが、どこかこう日本的な感じがする。犯罪とは悪意の固まりばかりではない、そんな、なんとも返答に困る […]

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