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コイツは悪人だ 書評:ある書誌学者の犯罪 トマス・J・ワイズの生涯

昨日はしましまタウンに行ってきた。先日買ったGR Digital IIを使ってみたのだが、うまく撮れない。ピントが合うまでが遅くて動く娘にピントが合わないのだ。こりゃ、使いどころを把握するまで相当かかる。コンパクトデジタルって難しいですね。

さて、世の中悪いヤツがいるものだ。実在の人物トマス・ジェームズ・ワイズ(1859-1937)は英国書誌学会会長まで務めた書誌学者で稀覯本コレクターである。その裏で偽造本を作って愛好家に売りつけていた。死ぬ間際にその罪は暴かれる。ワイズの死後もワイズが関わったとされる偽造本の調査は続けられた。それほど影響が大きかったということだ。

ワイズは偽造本を作るだけでなく、大英博物館大英博物館 の蔵書から必要なページを抜き取り、それを使って手元にある壊れた本を修理して売りさばいていたことも判明した。いわゆるにこいちにこいち である。

そこまでやるか。

むかーし、友人Aが友人Bのモノを勝手に売り払い、それを聞いたBが憤慨しているという話を聞いたことがある。AもBもそれほど仲良くないヤツだったが、そのときAってヤツは悪人だと心底思ったなあ。

本書は桂冠詩人桂冠詩人 の候補にまでなったエリザベス・ブラウニングエリザベス・ブラウニング の「ポルトガル語より移されたソネット」という詩集を主題に話が進む。あるときこの詩集の私家版が現れた。それまで初版本とされた本が実はそうではなく、この私家版こそが初版本であるとする者たちも出始めた。

エリザベスが夫ロバート・ブラウニングロバート・ブラウニング への愛を綴ったこの詩集はヴィクトリア朝が生んだ最も美しい抒情詩と言われる。その知られざる私家版ともなれば価値は相当なものになる。

果たして数冊のみ印刷されたとされる私家版は本物なのか。事情を知っているとされる者たちは多くを語らず終始あいまいで、この私家版の出自がどうもハッキリしない。それもそのはず、偽造本だから事情などハナから存在しないのだ。しかし不運なことに、その正当性を確かめる前に本の存在を信じてしまった者たちが結果としてワイズの手助けをしてしまった。そう、偽造したのワイズである。

偽造をあばく手法はいまではごくごく普通の方法だろうと思うが、当時としては画期的だったようだ。偽造本に使われている紙の原料から年代を特定し、活字の書体の組み合わせから印刷所を特定するというものだ。私としてはここらへんがすごくおもしろかったのだが、全体からすると扱いが小さく残念と言えば残念である。

ところで、この本は長い。ページ数は300頁弱だが版面は43字21行で一見すると活字ビッシリである。帯には書き下ろし650枚(!)とある。私は読むのに10日かかった。

ワイズの半生はもちろん、初版本という価値観についての言及や書誌学の様子なども興味深い。万人にとっておもしろいとは言えないが、本好きにはオススメしたい一冊だ。

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