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ヒネリなさい! 書評:閉じた本

昨日は娘を連れて仕事で使う技術書を買いにいった。会社でお金を出してくれるとは言え、二冊で7,770円は高いよなあ。

さて、本書の主人公である作家ポールは交通事故で眼球を失っているが、家の中での生活には不自由を感じていない。ポールは事故のあと家政婦の女性と静かに暮らし作家活動からも遠ざかっていたが、ついに自伝を書く決心をする。手始めに口述筆記をする助手として新聞広告に応募してきたジョンを雇うことにした。ジョンは慣れないながらも気難しいポールと少しずつ作業を進めていく。ところがジョンが来てから、ポールには「何かおかしい」そんな不安がつきまとうようになる。

本書は本文のほとんどが会話文という一風変わった小説だ。ミステリーというか犯行の動機やトリックなどはヒネリもないし、どこか素人っぽく見える。それだけ現実的な感じがしなくもないが、私はミステリーとしてはそれほど優れているとは思えなかった。せっかく表現手法が特異なのだから、内容ももっとヒネって欲しかった。

会話文がズラリと並ぶ中、ところどころにポールの独白が入る。この独白がなんと丸ゴシックの斜体で非常に読みづらい。「縦書きなのにコレはないだろう、何考えてんだ編集は」といきなりハラが立ったのだが、最後まで読んでみて「これじゃ、丸ゴの斜体でもしかたないかな。」と思った。編集の方ごめんなさい。この理由というかなんというか、そこが本書で唯一のヒネリと言える。

読者一般とポールには共通することがある。どちらも直接に何かを見るわけではなく、他人が描写したものを自分の想像で形にし理解する。それが視覚によるか聴覚によるかの違いだけだ。ただ、この視覚と聴覚の差とういのは思っている以上に違いがあると感じている。

私は仕事で月に一度は音声ブラウザ用のウェブサイトをつくる作業をしている。最優先でやっていることは、音声ブラウザが文字を読み間違えないように、あるいは間違えるのを前提に注釈をつけることだ。ただ、私はそれ以上に情報のまとめ方が難しいと感じている。聴覚でわかりやすくしようとすると情報が断片的になってしまい、情報の広がりを表現するのが難しい。音声ブラウザでは情報間の距離が表現出来ないような気がしている。ま、まだ私自身まとまっていないので、この辺の話題はいずれまた。

装丁は本ブログでも紹介した「チョコレート工場の秘密(ロアルド・ダールコレクション)」の緒方修一である。本書の造本は好きだが、デザインは少しあか抜けない感じがする。「少しいじりすぎてしまった」あるいは「イラストが強すぎてどうにもできなかった」ように見える。内容からすると原著の表紙の方が適切だと思う。「本」はあくまで素材の一つであって、描いているのは「不安」であろう。

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  1. bookreview.be - ブックレビュー 2009-01-13_2
    2009年01月13日 火曜日 04時41分

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