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ハイティーンの意見も聞いてみたい 書評:なぜケータイ小説は売れるのか

私はケータイ小説は読んだことがない。ケータイで読んでみたいのだが、私の携帯電話は会社から支給されているものなので、そういうことが精神的にしにくい。

ケータイ小説が売れているらしい。というか私はそんなに売れているとは知らなかった。「恋空恋空 」がケータイ小説であることは知っていたが、それはあくまで内容がイイから評価されたのだとばかり思っていた。ところがその文学的評価は割れているようだ。

本屋で本書のタイトルを見たとき「そんなに売れているのか?」という疑問が先に思い浮かんだ。Wikipediaによると、「恋空」は上下巻合わせて発行部数は140万部。

本書を読んでみて、ケータイ小説を読んでみたくなったかと問われると、「いつか、ね。」というところまで興味が減退した。本書にはいくつかの作品の引用があり、もちろんそれだけで判断するのは早計だと思うが、私が小説等に要求する論理性が欠けているような気がしたからだ。フィクションにそんなもん要求するなと言ってはいけない、想像の産物にこそ論理性が大切なのだ。

ケータイ小説に興味があるなら、本書は一読の価値があると思う。だた、当のケータイ小説読者、なかでも、提供側がメインターゲットに据えているハイティーンへの取材が欠落している。あるいは取材はしているのかもしれないが、それが感じられない。「なぜ売れるのか」を考える上では必要不可欠に思われるのだが。

著者がケータイ小説を読み込んでいるのはわかるが、40歳前の男性の感覚だけで売れる理由を論じるにはムリがあるのではなかろうか。一方、ケータイ小説そのものに対する指摘はいろいろと考えさせられる。ここにくると、一読者としての意見で論じてもいいからか、説得力も出てくる。

本書ではケータイ小説に出てくる主なイベントとして七つ挙げている。中にはこれらのほとんどが登場するものもあるそうだ。「売春」「レイプ」「妊娠」「薬物」「不治の病」「自殺」「真実の愛」。36歳の私に言わせれば「オマセ」だな、そんな私をハイティーンに言わせれば「オヤジ」だな。おう、オレは親父だ。本書ではこういったイベントがなぜ地方のハイティーンに受け入れられるのかを丁寧に考察している。「地方の」というあたりもポイントだ。

ケータイ小説はそのデバイスの制約により表現手法が特異な形態で発達したようだ。展開が早いのも一話分に相当するデータ容量が小さいからだそうである。またケータイ小説の本(書籍)は、ケータイのインターフェイスに本を似せているそうだ。字が大きい、行間が広い、横書き。加えて上製本。これは本を買う人が、すでにケータイで読んでいることを想定し、そこに所有する喜びを持たせるためだそうだ。よく考えてるよな、感心する。

同じことを本から始めたらどうなっていただろうか。たぶん、売れなかったんじゃないだろうか。この順序に大きく影響するのはもちろんケータイである。ケータイの長所は本の短所、本の長所はケータイの短所である。しかし、ケータイの短所をケータイ小説のセールスポイントにし、その形態でなくてはならないと感じさせるほどの正当性を持たせたことが、ケータイ小説の本当の意味でのすごさではないだろうか。

ハイティーンに熱狂的に受け入れられたのは内容が理由だろうが、このケータイという特性を生かした文章の配布方法にはまだまだ魅力があるように思う。

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