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やはり古本の魅力には勝てない 書評:幻の特装本

ここ数日は忙しくてあまり本を読めなかった。引っ越しって大変ですね。

本書は以前本ブログで紹介した「死の蔵書」の続編である。随分前に買ったのだが、まとまった時間が確実にとれるときに読みたくて、あえて積極的に読もうとはしてこなかった。先日、移動でまとまった時間が取れそうなので喜んでカバンに詰め込んだのである。

細切れの時間で読みたくない本がある。本書は文庫本でおよそ600頁、束(厚さ)は2cmで、読む前から時間がかかるのは明らかだ。小さな時間を継ぎ足していては登場人物の把握に毎回手間取るし、なるべく一度に長い時間で読みたかった。

結局10時間くらいはかかっただろうか。一日一時間だと10日はかかる計算になる。もちろん早く読むことが目的ではないのだが、厚い本を一気読みした後の爽快感というのもなかなかいいものである。

デンバーで古本屋を営む主人公クリフは元同僚の探偵から妙な依頼を受ける。保釈中の女性を護送するだけで$5,000も払うというのだ。その女性が被害者宅に本を盗みに入ったところ、発砲騒ぎになって逮捕された。保釈金を支払って保釈された直後、また同じ家に盗みに入って目当ての本を盗み行方をくらました。盗まれた本は、熱狂的なファンが大勢いる限定版専門の出版社、グレイスン・プレスが出したエドガー・アラン・ポーエドガー・アラン・ポー の「大鴉大鴉 」。グレイスン・プレスは1969年に火事で焼失、経営者二人も焼け死んだ。1949年に出た「大鴉」は稀覯本として有名である。しかし元同僚は奇妙なことを言うのだ。「1969年に出た”大鴉”が盗まれたのだ」と。そんな本は存在しないはずなのだが・・・。

話は時代を超えて複雑に絡み合ってくる。20年前発生した5件の殺人事件の関連性、逃亡した女性にそっくりな別人が写っている古い写真、グレイスン・プレスの火事の真相・・・。もう、ミステリー満載である。ただ、前作「死の蔵書」のようにトリックがあるわけではなく、あくまで人間関係のもつれが主題となる。だから、読後に振り返ったとき、一本の筋が光って見えるような切り口というか鋭さはない。トリック系が好きな人にはものたりないように思う。

主人公クリフというのは「本」がからむとどうしようもなく吸い寄せられて行く。いけ好かない同僚からの依頼でも「本」で引き受けてしまう。加えて、本好きな人を信じてしまう、そんな一面ものぞかせる。もちろん小説なのだからそうでなくてはいけないのだが、誰しもこういうものがあるだろう。近頃の私も古本についつい近寄ってしまう。

先日新居を探すために埼玉に行ったのだが、不動産屋との約束の時間まで15分くらいの空き時間で近所の商店街を覗いた。狙った訳ではないのだが古本屋がある。もうだめ。さらに店頭にはワゴンがあって「80円」と書いてある。妻も娘もそこにいるのにフラフラと寄って行く。なぜか知らんけど、こういうときに限って惹かれる本がある。80円×2冊で160円。「買うの?」の妻の一言に「だって80円だよ!」と理由になっていない理由を言い捨て、レジへ行く。

フリーマーケットでも本が置いていないかどうかばかり見ているし、Google Mapsで地図をグリグリやっていても「書店」とあるとついついズームする。もう、砂糖に群がるアリである。ここ数年、私の生活には砂糖が少なかったような気がしている。それで不満があったわけではないが、砂糖が出てくると「これはこれで楽しいもんだな」と思うようになった。

クリフだって本に入れ込んでいる自分を十分に理解している。元刑事だけに事件の匂いにも警察犬のように反応して、超えてはいけない一線の手前で一度は立ち止まる。立ち止まるのだが、結局はそのまま踏み込んでしまう。やはり古本の魅力には勝てないのだ。

御愁傷様です。

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古本や古本市、本の買取、読書グッズ、本棚・書棚などについて書いています。私は読書が好きだし、楽しいことだと思っています。皆さんにも読書のある生活を楽しんでもらいたいと思ってます。

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コメント / トラックバック

  1. ゆう
    2008年10月31日 金曜日 20時04分

    お久しぶりです。

    死の蔵書とはまた懐かしいものを…
    たしか作中にライノタイプが出てくるほうですね。
    主人公があんな感じだし推理もへったくれもないですが、
    活字好きにはたまらないです。

    東京は本好きにはいい所ですよー
    早く一段落できるといいですね

  2. 管理人
    2008年11月01日 土曜日 21時38分

    ゆうさん

    >死の蔵書とはまた懐かしいものを…

    ということは、ゆうさんも読んだということですよね。シリーズとしてはもう一冊あるようですが、いまだ古本屋では見かけません。東京近郊の古本屋にはあるだろうから、いまから発見のときが楽しみです。

    >東京は本好きにはいい所ですよー 早く一段落できるといいですね

    実は今日が引っ越し当日です。埼玉大学の近くに越して来たのですが、荷物搬入の前に30分ほど空き時間が出来て、近くを散歩したら古本屋がありました。ふらふらと立ち寄ったら引越し業者から早く部屋を開けるよう催促の電話が・・・。

    一段落すらしないうちから、楽しみに遭遇することができました。

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