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私にとってはイチローのバッティング指南書と同じ 書評:Hot Pepper ミラクル・ストーリー リクルート式「楽しい事業」のつくり方

私は普段はあまりビジネス書の類いは読まないようにしているのだが、本書のように物理的なモノに関する本は例外として読むことがある。

私の住んでいる街にはHotPepperはないのだが、創刊当時東京にいた弟に送ってもらったことがある。それほど話題になっていたのだ。著者はHotPepper事業部を4年で売り上げ400億円、営業利益営業利益 100億円の事業に育てた立役者である。

この出版不況と言われる時代の中、これだけの印刷市場を作り上げたことは奇跡としか言いようがない。

本書には「できない理由を完璧に言える責任者がいたが、彼はできるようにするためには何をすればいいのか一言も言えなかった。」というような下りがある。実際にHotPepperをこれだけの事業に成長させた人にこう書かれると、なんの実績もない私なんかはモノが言いにくくなってしまうが、ま、思うところを。

まず、読みにくい。あとがきには「臨場感やおもしろさを出すために」と書いてあるのだが、臨場感とわかりやすさはトレードオフではないと思う。なんども読み返さなくてはならず、まことに失礼ながら筆力の問題だと思う。また、3〜4年も前のことをすでにその職を退いている人が書いているのに、会話文が結構ある。ウソではないとは思うが、演出が強く見える。

経営方法の抽象的な概念はそれほどめずらしいものではないように思う。会社の目指すところを定め、それを社員と共有し、具体的な行動と数字に置き換えて実行する。常に責任を持って決断し、決断から逃げてはならない、というようなことだ。ただ、これらをリクルート流にやるとどうなるか、というのが興味深い。さほど詳しく書いているわけではないのだが、ひとつひとつに名前が付けられるほどに練り込まれた手法は思わず「なるほどねー」となる。また、ところどころに社内資料が掲載されているのだが「こんな資料まで作るのか!」と驚くものが多い。大企業ってみんなこうなんですかね?

さて、HotPepperというと0からスタートしたように見えると思うが、実は前身の「360(サンロクマル)」という地域情報紙があり、これは事業全体で慢性的な赤字を抱えていたのでリクルート社ではお荷物扱いだったそうだ。それらの中で成功していた札幌版、これがHotPepperのモデルとなっている。

正直言うと、私が本書のタイトルを知ったときに想像したのはこの札幌版の成功の秘訣だったように思う。すでに成功していたモデルを全国で実施するための方法ではなく、0からスタートして成功した方法を知りたかった。本書には札幌版の苦労は書かれていない。かなり意地の悪い言い方だが札幌版がなければHotPepperの快進撃はもっともっと時間がかかったのではないだろうか。

HotPepper事業部は全部で800人規模だそうだ。私からするとこれだけですでに大会社であり一事業部なんてもんじゃない。360は7年で36億の累積赤字と書いてあるが、そこまで赤字を抱えていながらまだやれるだけの企業体力がうらやましい。やっぱり住む世界が違うんだなー、と思う。ところが札幌版単体の話ならそれほど世界が違わないのではないかとも思う。やっぱり札幌版について知りたかった。

私が、イチローが大リーグで培ったバッティングの秘訣を書籍で学んでもバッティングセンターでの成績はあがらないと思うが、知らないよりは知っていた方がいいとも言える。本書は私に取ってはイチローのバッティング指南書と同じである。けれど「住む世界が違う」なんて言ってるうちはダメなんだよね、たぶん。

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古本や古本市、本の買取、読書グッズ、本棚・書棚などについて書いています。私は読書が好きだし、楽しいことだと思っています。皆さんにも読書のある生活を楽しんでもらいたいと思ってます。

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