古本市・本の買取・読書グッズの情報サイト marginalia.jp
古本市・本の買取・読書グッズの情報サイト

ひと昔前ってそんなに良かったですか? 書評:他人を見下す若者たち

著者は「過去の実績や経験に基づくこと無く、他者の能力を低く見積もることに伴って生じる本物でない有能感」を「仮想的有能感」と表現している。これには賛成。著者は若者の多くが仮想的有能感を持っており、全ての年齢層にそれが広がっているとする。

逆じゃないの?いまの高年齢層が仮想的有能感のパイオニアであって、それがより一般的になってきたと考える方が自然だと思う。昔もいまも仮想的有能感に関しては変わらないのではないだろうか。

若者論に限らないが、人の集団を論じるときに集団Aの望ましい層と集団Bの望ましくない層を比較しているように見えることがある。例えば、ひと昔前の不良といまの不良を比較せず、ひと昔前の優等生といまの不良を比較するってこと。本書もそういう印象を受ける。

最近よくある凶悪犯罪だって、ソレをいまの若者の総論に組み入れられてはちょっと困る。若者の多くは凶悪犯罪を支持している訳ではないと思う。

行儀の悪さだって、いまの若者のそれを擁護するつもりはサラサラないが、ひと昔前の若者だって同じことしてたのではないかと思う。

1971年に東京・銀座にマクドナルドマクドナルド 1号店がオープンし、銀座の歩行者天国を歩きながらハンバーガーを食べていたのは他でもない、著者と同じ現在60歳前後の人々ではないだろうか。ビキニビキニ が一般に普及を始めたのも1970年になってからと聞いてる。その前の世代からすれば、歩きながらモノを食べるのは行儀が悪いし、ビキニに至っては裸同然だったと思うゾ。だからこそビキニという名前になったわけだし。

ちなみに、Wikipediaによるとビキニの語源は、マーシャル諸島マーシャル諸島ビキニ環礁で米国が原爆実験をしたのだが、デザイナーのレアールがビキニの大胆さが周囲に与える破壊的威力を原爆にたとえたことによるのだそうだ。

本書は、内容の是非はともかく、客観性を持たせようとしたためか全体的にやや冗長な印象を受ける。統計的な調査はちゃんとやっているようだ。仮想的有能感をさらに分類するところまでは説得力がある。

著者は高年齢層の仮想的有能感を「全能型」、若者のそれを「仮想型」と分類している。仮想的有能感がどの世代にも見られる場合、若者現象を分析するなら全能型と仮想型の違いが発露の原因であることを示す必要があると思うのだが、本書はそこの踏み込みが足りないように思う。

「いまの若者うんぬん」の話は、いつの時代であっても難題だろう。研究者自身が若くなく研究対象外に見えても、実はその補集合なのだから。一方で私は本書のような研究をもっと若手にやってみてもらいたいとも思う。本書のタイトルを借りるなら「他人を見下す熟年たち」かな。結構失礼な感じがするが、どうだろうか。若者が相手なら許される?

ふー。熱いね、オレも。・・・もしかしたら、この記事も「過去の実績や経験に基づくこと無く、他者の能力を低く見積もることに伴って生じる本物でない有能感」の発露の一つだろうか。見下しているつもりはないのでお許しを。

marginalia?

古本や古本市、本の買取、読書グッズ、本棚・書棚などについて書いています。私は読書が好きだし、楽しいことだと思っています。皆さんにも読書のある生活を楽しんでもらいたいと思ってます。

管理人のプロフィール

ご意見など

お名前
メールアドレス(公開されません)
ウェブサイト

トラックバックURL:

このページの先頭へ
古本市・本の買取・読書グッズの情報サイト marginalia.jp
古本市・本の買取・読書グッズの情報サイト
読書占い
Copyrights © 2008-2017 marginalia.jp all rights reserved.