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あなたは速読派?それとも熟読派? 書評:本の読み方 スロー・リーディングの実践

私のオススメは再読である。

いわゆる速読派と熟読派の議論は平行線で終わるのが常だ。方や「速読でもちゃんと本の内容は理解できる。たくさんの本が読めれば様々な知識を得られる。」と言えば、一方は「速読ではちゃんと本の内容は理解できない。細部を見逃してしまうからだ。」。

量と質は比べてもしようがない。面積と体積を比べるのと同じだ。白状すると、私は速読というものに憧れていて、一瞬だけ挑戦したことがある、一瞬だけね。5分であきらめた。

著者は京大法学部卒にして芥川賞作家の平野啓一郎平野啓一郎 。本のタイトル通り、彼は「スロー・リーディング」を勧めている。非常に論理的に、しかしやわらかい語り口で持論を展開している。私はこういう文章が好きだ。

どこか羽生善治に似ているような気がする。ちなみに私は羽生善治の大ファンである。私は将棋は見るのは好きだが自分で指すことはない。日曜日午前10:30からのNHK杯テレビ将棋トーナメントNHK杯テレビ将棋トーナメント は楽しみの一つだ。テレビを普段見ない私が放映時間まで覚えている番組はたぶんこれだけ。あと「ちりとてちん」も覚えてるな。なんだ、NHKばっかりだ。

閑話休題。

小学校のときから国語のテストで「このときの誰それの気持ちを書きなさい。」という類いの問題がある。私は子供ながらに「そんなことは著者以外、本当のことはわかるわけない。」と思っていた。「答えとして書いているが、それはあくまで自分(私)としてそうであって欲しいという願望だ。」と思っていた。

同様のことを平野氏も本書で書いている。「おお、同志がここにも!」とうれしくなったが、その後の人生の違いはうれしくない。

本書は、「著者以外、本当のところはわかるわけがない。」という私に、興味深い文章を紹介してくれた。「古今のテクストを読む スロー・リーディング実践編」の「川端康成川端康成伊豆の踊り子』」という章である。

伊豆の踊り子の英訳を出すにあたり、訳者が川端本人にとある一文の主語は誰かを尋ね、それに対して川端本人が感じたことを書いているのである。

新鮮だった。

私自身は川端の意図する通りに読んだが・・・、読んだのだが「ん?」とちょっと迷った。そして同様のことを川端本人も書いている。私は初めてテストで100点をもらった気分になった。

本書では普段私が感じていることがたくさん書いてある。もちろん先に述べた「再読」についてもだ。

自分にとって本当に大切な本を、五年後、十年後、と折に触れて読み返してみる。その印象の変化を通じて、自分自身の成長のあとを実感するだろう。外観の変化は、写真や動画が保存してくれる。しかし、内面の変化を実感させてくれるのは本である。

私は高校時代から繰り返し読んでいる本がある。ヘミングウェイの「日はまた昇る」、川端康成の「古都」、デフォーの「ロビンソン漂流記」だ。それこそ五年や十年という単位でそうしている。最近シャーロック・ホームズ一式も仲間入りした。私の内面の変化は・・・、あまりないようだ。ついつい、小説の中の世界に憧れてしまうだけである。

本書にもあるが、速読派と熟読派の議論は、仕事のこなし方にも当てはまる。「早くこなせばそれだけ多くの経験を積める。」、「早くてもザツな仕事ぶりではモノにならない。一つ一つを丁寧に。」冒頭にも掲げた通り、もちろん私のオススメは再作業である。えーっ?

再読したくなる本、そんな本にたくさん巡り会えるといいですね。

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古本や古本市、本の買取、読書グッズ、本棚・書棚などについて書いています。私は読書が好きだし、楽しいことだと思っています。皆さんにも読書のある生活を楽しんでもらいたいと思ってます。

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  1. […] 以前、本の読み方 スロー・リーディングの実践の書評の時に、再読を勧めた。いま読んでいるのは佐野眞一の「誰が「本」を殺すのか」だが、これを読むのに時間がかかっている。いま […]

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