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読んだ後、気持ちが温かくなる 書評:家日和

どうでもいいが、今日通勤途中で古賀稔彦古賀稔彦 とすれ違った。すげー、田舎で有名人とすれ違うなんてことはめったにない。

さて、この本は小説すばるに発表された短篇6つに加筆・修正をしたものが収録されている。主人公はどれも30代後半あたりの夫婦。それぞれの家族構成やら主人公の置かれている状況は違うが、どことなくそういう家庭がありそうな感じがする。ネットオークションにハマる主婦、会社が倒産してしまったサラリーマン、妻と冷却期間中の男、若い男の出現にドキドキする主婦、自分の才能が開花しつつある女性イラストレーター、ようやく売れ始めた小説家。

文章は非常に読みやすい。私はあまり文芸作品は読まないので他はどうなのかはよくわからないが、言葉使いが感覚的で、なおかつ正確だ。私にとって、イマ風の言葉は意味が曖昧で概要しか理解できない使い方をされるものが多いように感じている。ところが奥田の使い方はそういう言葉であっても状況がよく伝わってくる、文章から想像する状況が一意なのだ。

また、言葉そのものの使い方に思い切りの良さを感じる。「だって、みんなそう言ってるでしょ。こう書いた方が解りやすいよ。」と言われているような気がするのだ。それでいてイヤミがない。だから読んでいても自然に感じるし、読むスピードが速くなる。

ちょっとしたことが新たな展開を生み、それが膨らむ。コメディにありがちな突拍子もないことをつぎつぎと並べ立てるような安易な展開ではなく、それがごくごくあたりまえのことなのに、意外性がある、しかし破綻しないおもしろさだ。世の中にはこんなにおもしろい夫婦がいるものなのだろうかと考えたくなってしまう。フィクションなのに。

表紙は木村伊兵衛賞木村伊兵衛賞 を受賞したこともある、いま人気の写真家、本城直季本城直季 である。本城の写真は一度見ると忘れられないくらいインパクトが強い。そのインパクトゆえにPhotoshopなどによる疑似的な表現手法も数多く紹介されている。技術的にはアオリを使っている、と言うのは簡単だが、このような表現手法にまとめるには相当な力量が必要だ。ロケハンも仕上がりに影響するだろうから、ある意味足で稼ぐ部分も多いだろう。

もしこの本を買うことがあったら、表紙の写真を見て欲しい。朝、これだけ住宅が並びながら人が写っていないのはあきらかに狙って撮影している。中野正貴の写真集「TOKYO NOBODY」もそうだが、人がいるはずのところに人がいないというのはどうもフィクションっぽい。この、「本当だけどウソっぽい、ウソだけど本当っぽい」そんなスレスレの内容を暗示しているようだ。

そしてこれが私がこの本を薦める最大の理由だ。すべての短篇は読んだ後、「気持ちが温かくなる」。

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古本や古本市、本の買取、読書グッズ、本棚・書棚などについて書いています。私は読書が好きだし、楽しいことだと思っています。皆さんにも読書のある生活を楽しんでもらいたいと思ってます。

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