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家日和(プロローグ:B型陳情団)

好きだった作家との再会は・・・、やっぱりおもしろかった。

著者は奥田英朗奥田英朗 、いまや直木賞作家だ。私が奥田の作品を初めて読んだのは、もうかれこれ20年くらい前だ。

当時、高校生だった私が毎月楽しみにしていたエッセイがあった。モノマガジンというのが創刊されてそれほど経っていない頃だったと思うが、奥田はそこにエッセイを書いていたのだ。

当時は著者の名前など気にせず、ただおもしろくて読んでいた。モノマガジンを買うほど小遣いの残りもないので、立ち読みで済ませていた。

大学に入って、ふとモノマガジンの連載のことを思い出した。「あのエッセイ書いてたの誰だろ」「奥田英朗っていうんだ」「おっ、本出してる」「買ってみるか」。当時映画ばかり見ていた私が本を買うのは珍しいといまでも思う。それから幾度か引っ越したが、その本も一緒に引っ越しし続けた。

その本は「B型陳情団」という。アマゾンで調べたら、プレミアがついて一冊4,000円以上する。定価は1,000円。いま気がついた、ジャケットの犬の写真は岩合光昭岩合光昭 じゃないですか。

奥田さん、どうしましょう。あなたなら「こんな本に4,000円?いいのかそれで。」って言うような気がしています。

家日和とは違う本の話だがこのまま続ける。もしかしたら家日和の話は明日になるかもしれない。

私はB型陳情団に相当影響を受けた。当時大学生だった私はヒマを考えることに使っていたが、奥田の思想と文体はなぜか素直に「ふーん。」と受け入れていた。

「個人主義」という言葉を知ったのもこの本だったと思うし、「コピーは自分で取るものだ」と信じて疑わないのもこの本によっている。落合・中日が好きなのも同様。白状すれば、文体は受け入れたというよりマネした。奥田さん、あなたが若い頃書きなぐった文章はいま私の中にあります。とてもあなたに及ぶものではないですが。

それから10数年、私は就職とともに本を読まなくなる。奥田英朗という名前は引っ越しのときしか思い出さなくなった。昨年、本を読み始めた頃に本棚にあるB型陳情団が目に留まった。「いま何してるんだろう、他に本出してるのかな」・・・「おお、本出してるじゃないか」・・・「げげっ、直木賞作家になっている!」

奥田さん、本当に申し訳ありません。ファンを自認しながらこの体たらく。本来なら受賞のおり、ささやかでも売り上げに貢献すべきでした。

いまから思うと、大学生だった私はある意味で理想と現実のギャップを埋めきれていなかった。いまでも埋まっていないところがあるけどね。B型陳情団には理想と現実の間にあるギャップひとつひとつに理由があるような気がしたのだと思う。失礼ながらエッセイの話題はどうでもいいようなことばかりだが、逆にそういうものほど理由を見つけるのは難しい、と思うのだ。

人間世界において、究極に突き詰められた核心の理由はそれほど難しくはない。千差万別である諸般の事情を無視できるなら、解決は簡単。けれどそれができない、そうならない。なんでだよ、まったく。

諸般の事情、便利な言葉だ。全ての糸をうまく取り込み、途中を縺(もつ)れさせて、繋ぎ合わせてしまう。しかし、現実にはその縺れをほぐしてしまったらうまくいかない、やっぱり糸はバラバラになってしまう。縺れたものを縺れたまま、受け入れることができるようにするための理由、それがB型陳情団にあったのではないかと思っている。

奥田さん、あなたはそんなつもりで書いていないことは重々承知です。この結論に至ったのはあくまで私個人の責任であって、あなたに責任はありません。どうぞこんな私を笑ってやってください。

けれど、ありがとう。

家日和は明日。(やっぱりな)

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コメント / トラックバック

  1. 黒猫屋
    2008年04月06日 日曜日 06時58分

    この「家日和」の表紙も本城直季さん(たしか木村伊兵衛賞をとった)ですね。
    本城さんの写真集「small planet」
    http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4898151728.html

  2. 管理人
    2008年04月06日 日曜日 10時35分

    >> 黒猫屋さん

    そうなんですよ、mixiで五月さんもレビューを書いてらっしゃいますね。Wikipediaにもありますが、岩合さんも木村伊兵衛賞を受賞されています。ナショナル・ジオグラフィックにも写真出してる。すごいなあ。

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