古本市・本の買取・読書グッズの情報サイト marginalia.jp
古本市・本の買取・読書グッズの情報サイト

生きがいとは人生の幅を増幅するアンプ 書評:作家は編集者と寝るべきか

内田春菊内田春菊 」私はいままで彼女の漫画の作風は知っていたし好きだったが、文章は読んだことがなかった。ただ、内田春菊という名前を聞くたびに「春菊」ってセンスある名前だなと思っていた。

本書は内田なりの創作論という触れ込みなのだが、読み進めるとどうもそうは思えない話になっていく。役者仕事や家事のこと、人づきあい・・・、ときおり思い出したように創作について書いているという感じだ。本書はすでに活動が停止しているWeb草思での連載をまとめたものだ。つまり書き下ろしとして勢いで書いて話がそれていったとは思えない。毎回、内田なりに考えて書いているはずだ。

私は読み終えたあと、内田春菊にとって創作とは彼女の生活に染み込んだものなんだろうと感じた。毎日が創作、何をしても創作、何をされても創作の一部になるということだ。生きがいと言ってもいい。

内田は創作が好きで好きでたまらないようだ。私はふと自分の娘に思っていることを思い出した。私は父親に「おまえにはマイナスのない人生を与えたかった」と言われたことがある。それを受けて育った私はいま「娘にはマイナスを補って余りあるプラスのある人生を与えたい」と考えている。ちょっと表現が難しいが「どんなにツライことがあっても、それをやっている時だけはメシも食わなくても、寝なくても楽しい!」そんな好きなことを持った人生だ。そもそも人生は与えられるものかどうか、という話はおいといて。

私は、いわゆる「生きがい」とは人生の幅を増幅するアンプだと思っている。それは人生を良い方にも悪い方にも増幅するのだ。私はいま自分があまり良い状態だとは感じていないので生きがいによって少しイヤな方に傾いている。

昨年義理の弟が就職したが、そのときヤツは「私は別になにかやりたいことがあるわけじゃないので」とシレッと言ったのをよく憶えている。そういうのもアリなんだよな、とつくづく思った。ヤツの名誉のために言っておくがヤツは人間としてはかなりマトモな方だと思う。

生きがいは人を喜ばせもするし落胆させもする、ときには勘違いもさせるだろう。それがなくては生きて行けないものでもないと思うし、ないことを恥じる必要もない。けれど私はそれを娘に持たせたいと思っているのは先にも述べた通りだ。矛盾してるよね。

さて、本書の装丁は長坂勇司。本屋で装丁がイイナと思って手に取るとたまにこの名前を見かける。シンプルな中にピッとアクセントを入れるのがうまいなと思う。

本書のジャケットは本文中にあるイラストを若干修正したものを銀色で箔押ししている。明らかにタイトルを意識してそのイラストを使ったと思うが、実は使われているイラストは2章にあって「作家は編集者と寝るべきか」は4章にある。若干の修正はジャケットとしては絵的にウルサイから修正しというよりはタイトルに沿わせるために意図的に誤解を生じさせるような(編集者と寝てるように見せる)修正に思える。

また、あとがきによると本書のタイトルは掲載している文章の中で最もインパクトがあるものを選んだようだ。以前草思社草思社 が「他人をほめる人、けなす人(だったと思う)」という本を出してヒットしたときにテレビで見たのだが、責任者らしき人が「当社ではタイトルは徹底的に議論して決める、それがヒットに繋がる」というような話をしていた。もちろん本書だって所定の会議は通ったのだろうが内容とのズレを考えると徹底的に議論したとは思えない。本書の初版発行は草思社が倒産する約1年前だ。すでに草思社の社風が失われつつあったのかもしれない、そんなことを思った。

marginalia?

古本や古本市、本の買取、読書グッズ、本棚・書棚などについて書いています。私は読書が好きだし、楽しいことだと思っています。皆さんにも読書のある生活を楽しんでもらいたいと思ってます。

管理人のプロフィール

ご意見など

お名前
メールアドレス(公開されません)
ウェブサイト

トラックバックURL:

このページの先頭へ
古本市・本の買取・読書グッズの情報サイト marginalia.jp
古本市・本の買取・読書グッズの情報サイト
読書占い
Copyrights © 2008-2017 marginalia.jp all rights reserved.