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あなたの記憶はどんなカタチですか 書評:本を読むわたし

小学何年生だったかは忘れてしまったが、冬のこと。私は学校帰りに友達と一緒に近所の公園の凍った堀の上を歩いていた。普段はそんなことしないが、その日はたまたま「歩いてみるか」ということになったのだ。少し歩いて、片足が氷を踏み抜き、堀に落ちそうになったことがある。

まあ、そんな深刻な話ではない。しかし当時はかなりビビッたのでよく憶えている。いま、そのことを思い出そうとすると、氷に片足を突っ込んで友達に引っ張り上げられている自分が見える。

あなたの思い出はどう再現されるのだろうか。自分が見たものをそのまま思い出すのだろうか。私は自分の思い出を頭の中に蘇らせると、なぜかその中に自分がいる。つまり映画やテレビを見ているような感じだ。

自分が記憶のなかにいるなんてのはどう考えたってオカシイと自分でも思うのだが、見たものそのものを思い出そうとしても思い出せない。そんなことを大学生の頃に友人に話したら「おまえ、ヘンなこと考えるヤツだな」と一蹴された。ヘン・・・、ですかね、やっぱり。

本書の著者は1991年生まれ、2006年に初版が出ているので15歳が書いたことになる。著者はこんな風に書かれるとイヤかもしれないが、とても15歳とは思えない文章力だ。私の15歳の文章なんて(憶えてはいないが)比較になるまい。いや、いまでもそうだろうが。

以前「蹴りたい背中」を読んだ時も感じたが、この年頃の女性の文章は一つ一つの描写がとても密であると思う。ゆっくりと時間が流れているのだろう。私の思い出ほど古い思い出ではないだろうが、小学生の頃の心情を丁寧に書き綴っている。よくもまあそんなに細かいところまで思い出せるものだと感心する。私は好きだった女の子の服装なんてこれっぽっちも憶えていない。正直言うと、顔もちょっと自信が無い。

私は記憶をそのままとどめるのではなくバラバラに分解してしまい、思い出す時はそれを基に再構成する。こんな記憶の仕方だと詳細を思い出すのは非常に難しい。これは他にも害があって、写真を見てもそれをもとに再構成できるので、本当の記憶なのか、あとから加えた記憶なのかがハッキリしなくなる。

著者はその才能によって思い出を大切に一つの本にすることができた。もしこれから忘れることがあっても本書を読めば思い出すことができる。書き留めておくことの良い一面だなと思う。

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