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異国の地へ流れ着いた水夫たちの末路 書評:漂流記の魅力

私はロビンソン・クルーソーロビンソン・クルーソー が大好きだ。小学生の頃に初めて読んでから、ずーっと。

名著だけあって世界中にファンがいるし、挿絵だけでも本ができるくらい、版を重ねたベストセラーだ。

ロビンソン・クルーソーは実在の人物をモデルにして書かれたということだが、日本にもそれに匹敵するくらい壮大な実話があるのだそうだ。本書ではその一つである若宮丸の話を紹介している。

出航後6ヶ月の漂流を経てアリューシャン列島へ漂着

若宮丸は石巻を出て時化に合い、アラスカから樺太に向けて長く連なるアリューシャン列島アリューシャン列島 へたどりつく。6ヶ月という期間はすごいが、そんなところまで流されてしまうの意外な感じがするかもしれない。しかし、本書を読めば、

「むべなるかな・・・」

である。当時の日本の船、和船は内海を航路とするに適した設計になっており、外洋のことなんか考えていなかった。それが時化た海でもまれ、あげくのはてに黒潮に乗ってどんどんと北上してしまう。

時化にあったときの儀式

記録によると、時化にあった時に水主(かこ、水夫のこと)は皆同じようなことをしたらしい。

まず、排水。どうしようもなくなるとチョンマゲを切ってお祈り。それでもダメなら荷を捨て、まだダメなら帆柱を切り倒す。

この状態で船が沈没しないと漂流となる。帆柱も舵もなければ海に行き先をまかせるしかない。もちろん水も食料も少ない。運良く陸地に着いてもそれは日本ではないのだ。

異国の地へ流れ着いた水主たちの末路

漂着した水主たちは異国の地で外国人の助けを受けながら生活をすることになる。

若宮丸の水主たちが日本に帰ってから受けた取り調べの記録には彼らの生活などが克明に記されており、読んでいると、もうなんと言って良いかわからないくらい複雑な心境になる。

以前に漂流した日本人との異国での出会い、日本へ帰りたいと願いながらも死んでしまう者、体調不良で帰国の船に間に合わない者、改宗してロシアでの生活を始める者。それぞれに思いはあるし、葛藤もある。

特に宗教の問題は根深い。宗旨替えは当時の日本では御法度であり、それはすなわち日本へ帰れないということだ。わずかばかりの帰国の可能性に賭ける者と、日本語教師としてのロシアでの裕福な暮らしを選ぶ者とが仲間割れし、裏切りも出る。

最終的に長い年月を経て若宮丸の水主のうち数名は日本へ戻ることができた。しかし、ここで話は終わらない。日本についても幕府とロシアの政治的な理由から彼らは上陸できない日が続く。そのうちに絶望は深くなり・・・

・・・若宮丸のうち数名は生まれ故郷に帰ることができた。そういう意味ではハッピーエンドと言えなくもない。しかし、読後感はそれほど晴れやかではない。

「うーむ。」

水主たちの数奇な運命に、私はただただ圧倒された。私はまた、本書のタイトルの「魅力」の意味を考え直している。この二文字は深い。

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