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こういう職業があるんだよな 書評:古書修復の愉しみ

本はいずれ壊れる。実は壊れやすさというはその出版時期でかなり異なる。1850年代から使われるようになった酸性紙酸性紙 の問題はとりわけ重大で、脱酸処理をする図書館が増えていると聞くが、設備が必要なのでなかなか大変なようだ。まずもって本の数が多すぎる。酸化した紙は破れるのではなく、くずれるのだ。

本書でいうところの古書修復は脱酸処理も含まれるが、基本的には頁がバラバラになった本をかがり直したり、破れを直したり、場合によっては表紙の革を貼り直したりすることだ。こうしたプロフェッショナルは海外には多く日本には少ないようだ。もともと日本の製本は和綴じだし、和紙の耐久性も優れているので、本の補修という文化そのものが育たなかったのではないかと思う。

本書ではこの修復の魅力が存分に記されている。技術的な解説は素人にも分かる程度に抑えてあり、著者が古書修復という職業に巡り会い、生業とするまでの経過を綴っている。アイオワ大学を中心に話が進むので、どこかアカデミックな雰囲気もある。

古書修復という職業につくためには本書から読み取れない大変な努力が必要とされるだろうが、ともかく私はこういうのに惹かれやすいタチだ。努力や苦労の部分を知りもしないのに、「いいなあ、学生のときにそういう職業があるのを知っていたら・・・」などと考えてしまう。けれど、人生やり直しはできない。

そもそも私には根性がないので、こういう地道な作業には向いていない。本をつくる側になり、本を読むようになったから惹かれるようになっただけだ。

以前、友人のSが「若い頃にいまの精神年齢だったら、もっとモテていたと思うんだけどな。」と言ったことがある。私もまったくその通りだと思う。若い頃、これから就職する、そんな時期の精神年齢が低すぎたと思う。考えているようで考えていなかったのか、それとも考えが浅いのか。いずれにしても、いまよりもずっと偏っていたように思う。また、考えるばかりで何もしていなかったのかもしれない。

それに比べて本書の著者はどうだろう。大学で英文学を専攻し、大学付属の印刷所で印刷を学び、製本のアルバイトをし、夜間に行われる古書修復の講座をとり、紙漉の講座もとっている。もちろん最初からこうした膨らみがあったわけではないだろうが、次々とやりたいことが膨らんでいく様、そしてそれを受け入れてくれる学ぶ場があるというのは、なんともうらやましい。

たぶん私もいまの職業に深みを持たせようと思えばできるだろう。しかしそれができているように思えないのはナゼなのか。やはり、サボッているだけか。

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古本や古本市、本の買取、読書グッズ、本棚・書棚などについて書いています。私は読書が好きだし、楽しいことだと思っています。皆さんにも読書のある生活を楽しんでもらいたいと思ってます。

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コメント / トラックバック

  1. […] 以下は、以前このブログで紹介した「古書修復の愉しみ」と紹介はしていないが持っている「防ぐ技術・治す技術―紙資料保存 マニュアル」からの受け売りですが・・・ […]

  2. 楊 暁黎
    2011年04月04日 月曜日 18時15分

    私は中国で専門の古書修復することです。今、日本に住んでいます。久しぶり古書修復のことを見ました。本当にうれしいです。でも、名古屋は何処に古書修復の所がありますか?先生が教えていただけませんか?有難うございます。

  3. 管理人
    2011年04月04日 月曜日 21時45分

    楊 暁黎さん

    名古屋に書籍の修復をしてくれるところがあるのか、私にはわかりません。一度、県立図書館など、規模の大きな図書館へ相談してみてはいかがでしょうか。

    お役に立てず申し訳有りません、どこか良い相談できるところが見つかるといいですね。

  4. […] 方法論ではないけれど、古書修復の世界がうらやましく思える一冊。書評はこちら。 […]

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