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本に埋もれる、のはちょっとコワイな 書評:本が崩れる

ここ2冊、当りが続いていい気分だ。これはオモシロイよ。

草森紳一による随筆。草森紳一の話が三つ、内容は「本が崩れる」「野球」「タバコ」である。私は本に関する本を読むのが好きで、そういう本を意図的に探しているが、本書はタイトルに惹かれて買った。新書サイズだが、320頁と結構なボリュームで読むのに3日かかった。が、おもしろい。ときどきマジで笑う。

本当に文章が巧い。本筋と関連性があるにしてもところどころ脱線するのだが、ぐっと本筋に戻っても違和感がない。全体に統一された脱線で、これほど本筋の内容を頭のどこかで継続させつつ脱線できる筆力には驚かされる。

なんといってもオススメはタイトルになっている「本が崩れる」である。4万冊以上に及ぶ本が自宅にあり、絶壁のように積み重なっていたらしい。蔵書といっても人それぞれだし多い人もいれば少ない人もいる。中には本棚を一つに限定し、一冊追加したくなったら一冊処分するという人もいるようだ。草森は資料モノに手を染めたため、ひたすら蔵書が増える。そしてそれを熟練の腕をもって積み上げる。

ある日、草森が風呂に入るべく風呂場に入ったとたん風呂場の扉の前にある本が崩れ、扉が開かなくなってしまい風呂場に閉じ込められてしまう。そんな特殊な状況に置かれた自分をどこか他人のように淡々と描く。けっしてイマ風の文章ではないが、ところどころ笑ってしまう。

本は意外と危ない。本書でも指摘があるが上製本は固い部分があるし、場合によってはケガもする。ただ、一般的にそれは人が振り回した場合だ。紙だって結構危ない。ちょっと気を抜くと紙で手を切ったりする。ちなみに重い本を持って肩をまわすとコリがいくらかほぐれる。

本に埋もれる生活、なんとなく憧れだったがちょっと考えを改めるかな。「過ぎたるは・・・」といヤツだ。

さて、本書の最後に「跋」(あとがきのこと)として、「やわらかい本」と題した池内紀池内紀 の文章がある。ここで紙型紙型 (しけい)が出てきているのでちょっと触れておく。

紙型とは紙でできた鋳型で、活版時代に組んだ版をもとに作成するものだ。使う時はこの紙型に鉛を流し込んで版を作成する。組んだ活字はそのまま保管すると結構な場所が必要だし、第一活字がもったいない。そのため紙型を作って版をくずすのだ。紙型の写真をネットで探してみても詳細なものがないのだが、海月書林のウェブサイトのものが雰囲気がわかりやすい。

私は一度だけ会社で本物の紙型を見たことがあるが、最初なんだかわからなかった。元工場長に聞いてはじめてそれが紙型であると知った。紙なのにガッチリと固く、ちょっと表面がツルツルしていて軽い。鉛の活字は本当に重い。ちょっとまとまった数になると持てる範囲を超えてしまう。確かに鉛の活字を保存するよりはこっちの方が便利だなと思ったし、とても大切そうに風呂敷で包んで保管してあるのを見てちょっと感動したのを覚えている。

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古本や古本市、本の買取、読書グッズ、本棚・書棚などについて書いています。私は読書が好きだし、楽しいことだと思っています。皆さんにも読書のある生活を楽しんでもらいたいと思ってます。

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